
季刊誌<ku:nel>は、独特のテイストを持っていた。
まず<食う・寝る>というネーミングが優れている。寝食をあつかうライフスタイル誌と
いうことが端的に示されて秀逸である。9年前の創刊号から数年前までの号まで取り揃え
ていたのだが、残念ながら最近は内容に失速感がある。<ku:nel>の魅力は、アート・デ
ィレクター=有山達也氏の力もあるが、やはり創刊時からの編集長=岡戸絹枝氏の存在が
おおきい。その岡戸氏は、昨年編集からはなれたようである。
毎号企画がよく、松浦弥太郎氏による花巻の高村光太郎山荘を訪ねてとか、南仏セザンヌ
のアトリエ探訪。ミナ・ペルホネンのチーフデザイナー=長江青さんの<走れ!乙女。>
なんてのもたのしかった。料理家=高山なおみさんとユニークな旦那スイセイさんとのし
ずかな暮らしぶり。イラストレーター=牧野伊佐夫氏による鎌倉ご隠居生活<木陰主義>
という風流な号もあった。ファッションや雑貨まわりの内容も多いので、参考資料として
モード系の専門学校での教材としても重宝している。写真もクウネル・カラーというか特
有の郷愁感ただよう魅力がある。なくなってしまうには惜しい雑誌なので、諦めずにいま
ひとつ奮起してもらいたいものである。